住宅ローン金利の上昇で返済が苦しい…今後どうなる?今できる対策と住み続けるための選択肢を解説
公開日:2026.07.12
日本銀行の利上げニュースを目にして、「住宅ローンの返済がこのまま続けられるのか」と不安を感じていませんか。特に変動金利で借りている方は、今後の返済額がどう変わるのか気になるところです。本記事では、金利上昇の背景から返済額の目安、返済が苦しくなったときの対策までを順を追って分かりやすく解説します。
目次
なぜ住宅ローン金利が上がっているのか
政策金利とは?
政策金利とは、日本銀行が金融機関同士の資金の貸し借りに適用する基準となる金利のことです。この金利が上がると、銀行が私たちにお金を貸すときの金利にも影響が及びます。いわば、金利全体の「元栓」のような存在といえるでしょう。
日本銀行の利上げが住宅ローンへ与える影響
日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.0%程度へ引き上げました。これは1995年以来、実に31年ぶりの水準です。背景には、3年連続で確定した高水準の賃上げなど「賃金と物価の好循環」があるとされています。これを受け、多くの金融機関が住宅ローンの変動金利を引き上げており、2026年4月時点で大手銀行の変動金利は軒並み1%を超えています。
変動金利利用者が特に影響を受けやすい理由
固定金利は契約時の金利がずっと変わらないのに対し、変動金利は市場金利の動きに応じて定期的に見直されます。そのため政策金利が上がれば、変動金利で借りている方の返済額に直接影響が及ぶ可能性があります。今後の動向を断定することはできませんが、市場では年内の追加利上げを見込む声もあり、返済計画を早めに見直しておくことが望ましいでしょう。
毎月の返済額はどれくらい増える?
以下は、35年・元利均等返済を前提とした概算シミュレーションです。実際の返済額は借入条件によって異なるため、あくまで目安としてご覧ください。
| 借入額 | 金利0.5% | 金利1.0% | 差額(月々) |
|---|---|---|---|
| 3,000万円 | 約77,900円 | 約84,700円 | 約6,800円 |
| 4,000万円 | 約103,800円 | 約112,900円 | 約9,100円 |
| 5,000万円 | 約129,800円 | 約141,100円 | 約11,400円 |
※上記はあくまで概算であり、金融機関や返済条件により実際の金額は異なります。
月々数千円〜1万円程度の増加は小さく感じるかもしれません。しかし年間に換算すると8万円台〜13万円台の負担増となり、ほかの支出増と重なって家計を圧迫していくケースは少なくありません。「今のうちに家計全体を見直しておく」という意識が大切です。
住宅ローンが払えなくなるとどうなる?
住宅ローンの返済が滞ると、どのような流れをたどるのか、時系列で整理しておきましょう。滞納が進むほど選べる選択肢は少なくなっていくため、早い段階で全体像を理解しておくことが重要です。
①返済遅延
まず、約束していた返済日に支払いができない「延滞」の状態になります。1〜2ヶ月程度であれば金融機関からの連絡にとどまることが多く、相談できる選択肢はまだ多く残っています。
②督促
延滞が続くと、金融機関から督促状や電話での連絡が来るようになります。この段階でも事情を説明し相談することは十分可能です。放置せず早めに連絡することが、今後の選択肢を広げます。
③期限の利益喪失
延滞が3ヶ月程度続くと「分割で返済する権利(期限の利益)」を失うことがあります。これにより、残債務を一括で求められる可能性が出てきます。
④一括請求
期限の利益を失うと、金融機関やその保証会社から残債務の一括請求が届きます。この段階になると通常の分割返済に戻すことは難しく、対応できる選択肢はかなり限られてきます。
⑤競売開始
一括請求に応じられない場合、裁判所を通じた「競売」の手続きが進められることがあります。競売では市場価格より低い価格で売却されることが多く、住み続けることもできなくなります。
⑥退去
競売が成立すると所有権が買主に移転し、住み慣れた家からの退去を求められます。ここまで進むと、住み続けるという選択肢は事実上なくなります。
このように、滞納が進むほど選べる方法は狭まっていきます。逆にいえば、①〜②の早い段階、できれば滞納する前に動き出すことで、住み続けながら解決できる可能性は大きく広がります。
返済が苦しくなったら今すぐできる5つの対策
①銀行へ相談
返済が厳しいと感じたら、まずは借入先の金融機関に相談してみましょう。返済期間の延長や、一定期間元金の返済を据え置く「リスケジュール」に応じてもらえる場合があります。
②借り換え
他の金融機関でより低い金利のローンに借り換えることで、月々の返済負担を軽減できる可能性があります。ただし、諸費用や審査が必要になる点には注意が必要です。
③家計の見直し
固定費や保険、通信費など住宅ローン以外の支出を見直すことで、返済に回せる余力を作れる場合があります。取り組みやすい対策のひとつです。
④任意売却
金融機関の同意を得たうえで、市場価格に近い価格で自宅を売却し、ローンを整理する方法です。競売に比べて有利な条件で売却できる可能性がありますが、売却後は自宅に住み続けることはできません。
⑤リースバック
自宅を売却して資金化しつつ、売却先と賃貸借契約を結ぶことで、そのまま住み続けられる方法です。引っ越しをせずに住宅ローンを整理できる点が特徴です。
| 方法 | 住み続けられる | 資金化 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 銀行へ相談 | ○ | × | 返済条件の変更で負担を軽減 |
| 借り換え | ○ | × | 金利を下げて月々の負担を軽減 |
| 家計の見直し | ○ | × | 支出を抑えて返済原資を確保 |
| 任意売却 | × | ○ | 競売より有利な条件で売却しやすい |
| リースバック | ○ | ○ | 売却と賃貸を組み合わせて住み続ける |
家を手放さず住み続ける方法はある?
自宅を手放す場合の方法として、主に「一般売却」「任意売却」「リースバック」の3つが挙げられます。それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 方法 | 住み続けられるか | 売却価格の傾向 | 主な利用場面 |
|---|---|---|---|
| 一般売却 | できない | 市場価格に近い | 転居を前提とした売却 |
| 任意売却 | できない | 市場価格よりやや低め | 返済が困難になった場合の整理 |
| リースバック | できる | 市場価格より低め | 住み続けながら資金化したい場合 |
一般売却も任意売却も、売却後は引っ越しが必要になります。一方でリースバックは、売却後も賃貸として同じ家に住み続けられる点が大きな違いです。生活環境を変えたくない方や、近隣に知られずに手続きを進めたい方にとって、選択肢のひとつになり得ます。
リースバックという選択肢
リースバックとは、自宅を売却して資金を得たうえで、買主と賃貸借契約を結び、家賃を払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。ここでは、メリットとデメリットを公平にご紹介します。
メリット
- 引っ越しが不要で、生活環境を変えずに済む
- 住宅ローンを整理し、家計を立て直しやすくなる
- まとまった資金を得られるため、老後資金の確保にもつながる
デメリット
- 売却後は家賃の支払いが発生する
- 一般的に、売却価格は市場価格より低めになる傾向がある
リースバックは万能な解決策ではありませんが、「住み続けたい」という希望と「資金化したい」というニーズを両立できる方法のひとつです。ご自身の状況に合うかどうかは、専門家に相談しながら見極めることをおすすめします。
まとめ
- 住宅ローン金利は2026年6月の日銀利上げを受けて上昇局面にあります
- 借入額によっては年間で8万円台〜13万円台の負担増となる可能性があります
- 銀行相談・借り換え・家計の見直し・任意売却・リースバックなど、複数の選択肢があります
競売になる前なら選択肢は多く残されています。まずは現状を把握し、早めに行動することが大切です。