老後資金が足りないと感じたら?持ち家を活用して生活を守る5つの方法を解説

公開日:2026.07.12

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ニュースなどで「老後2,000万円問題」が話題になったことや、昨今の急速な物価上昇、そして将来の医療費・介護費への懸念などにより、老後資金への不安が高まっています。しかし、手元の老後資金が足りないからといって、すぐに生活が立ち行かなくなるわけではありません。もしご自身に持ち家があるのなら、それを有効活用して生活を守る方法がいくつも存在します。本記事では、老後に必要なお金を整理したうえで、持ち家という資産を活用する具体的な選択肢をご紹介します。

目次

老後資金はいくら必要?

老後の生活を具体的にイメージするためには、「老後資金がいくら必要なのか」を客観的なデータから把握することが第一歩となります。老後の主な支出と、年金収入だけで生活した場合の不足額について見ていきましょう。

年金だけでは不足するケースと主な支出

総務省が発表した家計調査報告によると、65歳以上の無職世帯の家計収支は、多くの場合で赤字となっています。夫婦高齢者無職世帯の場合、年金などの実収入が月額約25万2,818円であるのに対し、食費や住居費などの消費支出、および税金や社会保険料などの非消費支出を合わせた総支出は約28万6,877円です。この結果、毎月約3万4,059円の不足が生じています。

単身世帯においても同様の傾向が見られ、実収入約13万4,116円に対して総支出は約16万1,933円となり、毎月約2万7,817円の赤字が発生しています。仮にこの生活が65歳から95歳までの30年間続いた場合、夫婦世帯では約1,200万円、単身世帯では約1,000万円の資金が、日常生活を送るだけで不足する計算になります。

医療費・介護費の備え

日常生活費の不足分に加えて、老後の大きな負担となるのが医療費と介護費です。各種調査をもとに試算すると、65歳以降にかかる生涯の医療費の自己負担額は、長期入院などのリスクを含めると平均して約250万円が一つの目安となります。また、介護にかかる費用は、平均的な介護期間(約4年7ヶ月)の月額費用と住宅改修などの一時費用を合わせると、約542万円に上ります。これらを合計すると、1人あたり約790万円、予備費を含めれば約1,000万円程度の備えがあると安心です。

必要額には個人差があること

生活費の不足分(約1,000万〜1,200万円)と医療・介護費(約1,000万円)を合わせると、老後資金としては2,000万円以上の準備が望ましいという結論に至ります。しかし、この金額はあくまで平均値であり、実際には個人のライフスタイル、健康状態、持ち家の有無によって大きく異なります。

項目夫婦高齢者無職世帯単身高齢者無職世帯
実収入(年金など)約252,818円約134,116円
総支出約286,877円約161,933円
毎月の不足額約34,059円約27,817円
30年間の不足想定額約1,200万円約1,000万円

持ち家は老後の大切な資産

「預貯金が少ないから老後破産してしまうのでは」と不安を抱える方でも、住宅ローンを完済した、あるいは残債が少ない「持ち家」がある場合は、状況を悲観する必要はありません。持ち家は老後の生活を根本から支える強力な資産となります。

持ち家の資産価値と現金化できる可能性

不動産は数百万から数千万円の価値を持つ大きな資産です。現金が手元になくても、持ち家という形で資産を保有している状態のシニア層は少なくありません。いざという時には、この不動産を現金化することで、日々の生活費の補填や、老人ホームへの入居費用、高額な医療費などに充てることが十分可能です。

「住む家」だけではないという視点と相続の考え方

日本の多くの方は、持ち家を「一生住み続ける場所」としてのみ捉えがちです。しかし、視点を変えて「自宅の資産活用」を行うことで、老後の選択肢は大きく広がります。また、子どもが独立して別にマイホームを構えている場合、親の死後に実家が「空き家」となり、維持管理費や固定資産税の負担、さらには遺産分割協議での親族間の揉め事の原因になるケースが増えています。元気なうちに持ち家を現金化しておくことは、老後資金の確保だけでなく、スムーズな相続対策としても有効な考え方です。

老後資金を確保する5つの方法

老後資金が足りないと感じた場合、具体的にどのような対策を取るべきでしょうか。ここでは、日常的な見直しから自宅の資産活用まで、5つの方法を解説します。

家計の見直し

最も手軽で即効性があるのが、毎月の固定費を中心とした家計の見直しです。スマートフォンの料金プランを格安なものに変更する、ライフステージに合わなくなった過剰な生命保険を解約・減額する、車を手放してカーシェアリングに移行するなど、固定費を削ることで毎月の赤字幅を縮小できます。

公的制度の活用

低所得の高齢者世帯に対しては、各都道府県の社会福祉協議会が窓口となっている「生活福祉資金貸付制度(不動産担保型生活資金)」などの公的制度が存在します。これは、現在住んでいる居住用不動産を担保にして、毎月の生活資金(月額30万円以内)を低金利(年3%または長期プライムレートのいずれか低い方)で借り入れる仕組みです。対象となる不動産の評価額(概ね1,500万円以上の一戸建て等)や連帯保証人の設定など条件は厳しいですが、条件を満たせば安全性の高い選択肢となります。

働き方を見直す

定年退職後も、体力が許す範囲で働き続けることで収入を確保する方法です。パートタイムやシルバー人材センターを通じた軽作業など、月に数万円でも労働収入があれば、年金の不足分を補うことができます。また、社会とのつながりを持つことは健康寿命の延伸にも寄与します。

リバースモーゲージ

自宅を担保にして民間の金融機関から融資(借入)を受ける制度です。毎月の支払いは利息のみとし、契約者が亡くなった後に自宅を売却して一括で元本を返済します。自宅の所有権を持ったまま住み続けることができますが、融資であるため、金利上昇リスクや長生きによる借入枠の上限到達リスクに注意が必要です。

リースバック

自宅を不動産会社などに「売却」し、同時にその買い手と「賃貸借契約」を結ぶことで、家賃を支払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。まとまった現金を一括で受け取ることができ、資金使途にも制限がないため、老後資金の確保に直結します。リースバックの仕組みについては、リースバックとは?仕組み・流れを名古屋の専門家が解説でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

方法特徴期待できる効果
家計の見直し固定費の削減など毎月の支出減による赤字解消
公的制度の活用自宅担保の公的貸付低金利での生活費確保(毎月借入)
働き方を見直す再就職やパートタイムなど労働による直接的な収入増と健康維持
リバースモーゲージ自宅担保の民間融資金融機関からの資金借入(利息払い)
リースバック自宅の売却+賃貸借まとまった現金の確保と居住の継続

リースバックなら住み慣れた家で暮らし続けられる

「今の家には住み続けたいが、手元にまとまった資金が欲しい」という老後不安層のニーズに最も適しているのがリースバックです。ここでは、リースバックのメリットとデメリットを公平な視点から説明します。

メリット

  • 引っ越しが不要:生活環境を変えずに済むため、長年培ってきたご近所付き合いや住み慣れた環境を維持できます。
  • まとまった資金を一括で確保できる:医療費や介護費用、老人ホームへの入居資金など、使途を問わず自由に活用できます。
  • 維持コストから解放される:所有権が買主に移るため、固定資産税や修繕積立金といった毎年の維持コストがかからなくなります。

デメリット

  • 家賃が発生する:売却代金の中から家賃を支払い続けることになるため、長期的な資金計画が必要です。
  • 売却価格が市場価格より低くなる傾向がある:一般的な仲介による売却に比べて、およそ7割〜8割程度になることがあります。

老後資金に不安を感じたら、早めに選択肢を知ることが大切です。まずはご自宅の査定額を確認してみましょう。

リバースモーゲージとの違い

リースバックとリバースモーゲージは、「家に住み続けながら資金を得る」という目的は共通していますが、根本的な仕組みが異なります。リバースモーゲージは「金融機関からの借入」であり、リースバックは「不動産の売買」です。リースバックとリバースモーゲージの違いについては、リースバック・任意売却・リバースモーゲージの違いとは?自分に合った選び方を徹底比較でもくわしく比較していますので、あわせてご覧ください。

項目リースバックリバースモーゲージ
所有権買主に移転する自分の名義のまま残る
現金化売却代金を一括で受け取る融資枠の中で一括や分割で受け取る
住み続けられる毎月の家賃を支払う毎月の利息を支払う
相続売却済みのため不動産としては残らない相続人が残債を返済すれば家を残せる
向いている人まとまった資金が必要で、家に執着がない人家の所有権を手放さず、毎月の支出を抑えたい人

それぞれ向いているケース

リースバックは、まとまった資金を一括で受け取りたい方や、資金の使い道の自由度を重視する方に向いています。また、不動産を子どもに残すつもりがない方や、マンションにお住まいの方(リバースモーゲージはマンション不可のケースが多い)にも適しています。名古屋でリースバックを検討する場合、交通の便が良く住宅需要の高いエリアであれば、より高い査定額がつきやすく、資金調達の面で有利に働く傾向があります。

一方、リバースモーゲージは、家を担保にしても所有権は自分のまま残しておきたい方や、毎月の支払いを利息のみの少額に抑えたい方に向いています。将来、子どもが借入金を一括返済して実家を引き継ぐ可能性がある場合には有力な選択肢となります。

老後資金の相談は早いほど選択肢が広がる

持ち家をどう活用するか考える際、最も重要なのは「早い段階で準備を始めること」です。

退職前から準備する重要性と専門家への相談

加齢に伴い認知機能が低下してしまった場合、不動産の売買契約や金融機関との融資契約を法的に結ぶことができなくなるリスクがあります。判断能力がしっかりしている退職前後のタイミングから、専門家に相談してご自宅の正確な価値(査定額)を把握し、どのような選択肢があるのか情報を集めておくことが不可欠です。

家族との話し合い

持ち家の活用は、将来の相続問題に直結します。子どもが「実家を残してほしい」と考えているのか、それとも「親の老後資金として自由に使ってほしい」と考えているのか、家族間で認識のズレがあるとトラブルに発展しやすくなります。元気なうちに家族と話し合い、方針を共有しておくことが、安心できる老後設計の鍵となります。

よくある質問

老後資金はいくら必要ですか?

生活費の不足分として約1,000万〜1,200万円、さらに医療費や介護費の備えとして1人あたり約1,000万円を目安に準備しておくのが理想的とされています。ただし、年金額や生活水準により個人差が大きいため、ご自身の支出を把握することが重要です。

年金だけで生活できますか?

多くの場合、年金収入だけでは生活費を完全に賄うことは難しく、毎月数万円の赤字が発生する傾向にあります。そのため、預貯金の切り崩しや、持ち家などの資産活用による補填が必要となります。

持ち家を売らずに資金を確保できますか?

可能です。各都道府県の社会福祉協議会が提供する「不動産担保型生活資金」や、民間の金融機関が提供する「リバースモーゲージ」を利用すれば、自宅の所有権を持ったまま、不動産を担保にして融資を受けることができます。

リースバックは何歳まで利用できますか?

リースバックは不動産売買と賃貸借契約を組み合わせた民間サービスであるため、リバースモーゲージのような厳格な年齢制限が設けられていないことが一般的です。契約時にご本人の意思能力が確認できれば、高齢であっても利用可能です。

相談だけでも可能ですか?

はい、もちろん可能です。将来の資金計画を立てるためには、まず「自分の家がいくらで売れて、家賃がいくらになるのか」という正確な基準を知る必要があります。査定や相談を活用して、情報収集から始めてみてください。

まとめ

  • 年金だけでは老後の生活費が毎月数万円不足する傾向があり、医療費・介護費も別途備えが必要
  • 持ち家は老後の生活を支える資産であり、家計見直しや公的制度、リバースモーゲージ、リースバックなど複数の活用方法がある
  • リースバックは住み慣れた家に住み続けながらまとまった資金を確保できる方法で、早めの相談が選択肢の広さにつながる

持ち家は生活を支える大切な資産です。老後資金に不安を感じたら、一人で悩まず早めに情報収集や相談を始めましょう。