【2026年9月公表】愛知県の基準地価は5年連続上昇、でも上昇幅は2年連続で縮小|持ち家の資産価値の読み方
公開日:2026.09.30
2026年9月15日、国土交通省が令和8年の都道府県地価調査(いわゆる「基準地価」)を公表しました。愛知県の住宅地は前年比+1.3%で、5年連続の上昇です。ただし上昇幅は2年連続で縮まっており、三大都市圏のうち上昇幅が縮小したのは名古屋圏だけでした。
「地価が上がっている」と聞くと、自宅の資産価値も上がっているように感じます。しかし県全体の平均が上がっていることと、ご自身の家が高く売れることは、同じではありません。この記事では、公表されたばかりのデータを一次情報から整理したうえで、愛知県で持ち家をお持ちの方がこの数字をどう読み、何を確認すればよいのかを解説します。
※本記事の数値は、国土交通省および愛知県が2026年9月15日に公表した令和8年地価調査(2026年7月1日時点)の資料にもとづいています。
目次
2026年9月15日に公表された「基準地価」とは何か
都道府県地価調査は、国土利用計画法施行令にもとづき、各都道府県知事が毎年7月1日時点の基準地1平方メートルあたりの価格を調査して公表するものです。令和8年の調査は全国21,466地点を対象に行われ、2026年9月15日に結果が公表されました。
「地価公示」と「基準地価」は別の調査
ニュースで年に2回「地価が発表された」と聞くのは、春の地価公示と秋の地価調査という別々の調査があるためです。基準日も実施主体も異なります。
| 項目 | 地価公示 | 都道府県地価調査(基準地価) |
|---|---|---|
| 実施主体 | 国土交通省(土地鑑定委員会) | 各都道府県知事 |
| 価格の時点 | 毎年1月1日 | 毎年7月1日 |
| 公表時期 | 3月(2026年は3月17日) | 9月(2026年は9月15日) |
| 根拠法令 | 地価公示法 | 国土利用計画法施行令 |
| 今回の対象地点数 | — | 全国21,466地点 |
つまり今回発表されたのは、2026年7月1日時点の土地の価格です。名古屋市16区ごとの公示地価(1月1日時点)については、名古屋市でリースバックを検討するには?16区の地価データと相談前に確認したい5つのことで詳しく扱っています。
愛知県の住宅地は+1.3%|5年連続の上昇でも、上昇幅は2年連続で縮小
愛知県が公表した令和8年地価調査の用途別平均変動率は、住宅地が+1.3%(前年+1.6%)、商業地が+2.5%(前年+2.7%)、工業地が+3.2%(前年+2.3%)でした。住宅地と商業地は上昇が続いているものの、上昇の勢いは前年より弱まっています。
過去5年の推移で見ると、愛知県の住宅地は令和6年の+2.3%をピークに、令和7年+1.6%、令和8年+1.3%と2年続けて上昇幅が縮んでいます。名古屋市も同じ形で、令和6年+4.3%から令和7年+3.0%、令和8年+2.7%と推移しました。

三大都市圏で上昇幅が縮小したのは名古屋圏だけ
国土交通省の報道発表では、三大都市圏について「東京圏、大阪圏ではいずれも上昇幅が拡大した」「名古屋圏ではいずれも上昇幅が縮小した」と記載されています。全国では住宅地・商業地とも5年連続の上昇で、商業地は上昇幅が拡大しました。全国的に地価が上がるなかで、名古屋圏だけ勢いが鈍っているという構図です。
ただし、これは「下がった」という意味ではありません。愛知県の住宅地は5年連続で上昇しており、水準としては高い状態が続いています。上がり方のペースが緩やかになった、というのが正確な読み方です。
今後さらに縮小するのか、再び拡大に転じるのかは、現時点のデータからは判断できません。
県内の差が広がっている|名古屋市+2.7%、東三河は−0.2%
愛知県全体の+1.3%という数字は、県内をならした平均です。地域別に見ると、同じ県内でもかなりの開きがあります。
| 地域 | 住宅地(令和8年) | 住宅地(令和7年) | 商業地(令和8年) |
|---|---|---|---|
| 名古屋市 | +2.7% | +3.0% | +4.0% |
| 尾張地域 | +1.5% | +1.7% | +2.2% |
| 知多地域 | +1.3% | +1.6% | +0.9% |
| 西三河地域 | +1.1% | +1.5% | +1.9% |
| 東三河地域 | −0.2% | −0.1% | +0.2% |

名古屋市が+2.7%と県平均を大きく上回る一方、東三河地域は住宅地が−0.2%で、下落幅が前年の−0.1%からわずかに広がりました。尾張・知多・西三河も、いずれも前年より上昇幅が縮んでいます。県内で最も高い名古屋市と最も低い東三河の差は、約3ポイントあります。
上昇した地点の割合も減っている
地点単位で見ると、愛知県の住宅地で価格が上昇した地点は全体の67.7%で、昨年の70.0%から減りました。横ばいが18.6%(昨年17.7%)、下落が13.8%です。商業地では上昇が82.0%(昨年83.0%)、横ばい13.6%、下落4.4%となっています。
つまり、愛知県内でも「上がっている場所」と「動いていない場所」「下がっている場所」が混在し、その比率が少しずつ変化しているということです。「愛知県の地価は上昇中」という一文だけでご自宅の状況を判断することはできません。
平均値は、あなたの家の値段ではありません。
「地価が上がっている」=「自宅が高く売れる」ではない3つの理由
ここが、この記事で最もお伝えしたい点です。地価の上昇と、ご自宅の売却価格や買取価格は、直結しません。理由は3つあります。

理由1:地価は「土地だけ」の価格である
基準地価も公示地価も、更地としての土地の価格を示すものです。一戸建てを売る場合の価格は、土地の評価に建物の評価を加えたものになりますが、木造住宅の建物評価は築年数の経過とともに下がっていきます。土地の評価が年1%上がっても、建物の評価の下がり方のほうが大きければ、合計額は下がることもあります。査定額の決まり方はリースバックの査定額はどう決まる?で解説しています。
理由2:基準地はあくまで「代表地点」である
地価調査は、全国21,466地点という限られた代表地点を調べたものです。同じ町内であっても、前面道路の幅、敷地の形、傾斜、日当たり、角地かどうか、接道の状況によって、実際の評価は大きく変わります。基準地の近くだからといって、同じ単価が自宅に当てはまるわけではありません。
理由3:地価は「評価額」であって「売れた値段」ではない
基準地価は不動産鑑定士の鑑定評価をもとにした、2026年7月1日時点の価格です。実際の売買価格は、その時期にその物件を買いたい相手がいて、条件が折り合って初めて決まります。売り急ぐ事情があれば価格は下がりますし、逆に条件の良い土地なら評価額を上回ることもあります。
公的な地価は「相場の目安」であって、ご自宅の値札ではありません。
愛知県の持ち家所有者は、この数字をどう使えばいいか
老後の生活資金を考えている方
自宅は、多くの方にとって最大の資産です。その資産の相場が今どの方向に動いているのかを知ることは、「いつ、どう使うか」を考える出発点になります。愛知県は5年連続の上昇が続いている一方で上昇幅は縮小しており、「もう少し待てばもっと上がる」という前提を置きにくい局面にあることは確かです。持ち家を活用した資金確保の方法は老後資金が足りないと感じたら?持ち家を活用して生活を守る5つの方法にまとめています。
住宅ローンが残っている方
ここは切り分けが必要です。地価の上昇は資産価値の話であり、返済負担の話とは別です。2026年に入って複数の銀行が住宅ローンの変動金利を引き上げており、資産価値が上がっていても、毎月の返済額が増えれば家計は苦しくなります。返済額がいつ・いくら変わるのかは変動金利が上がると住宅ローンの返済額はいつ・いくら上がる?5年ルール・125%ルールの落とし穴で、対策は住宅ローン金利の上昇で返済が苦しい…今後どうなる?で解説しています。
相続や終活を考えている方
地価が上がるということは、相続税の評価額にも影響しうるということです(相続税の計算に使う路線価は、地価公示価格の8割程度を目安に、毎年1月1日時点で国税庁が定めています)。また、誰も住まない家を相続で残すと、空き家として維持費と固定資産税だけがかかり続けます。実家が空き家になりそう?放置のリスクとリースバックによる活用法、実家を相続したらどうする?もあわせてご覧ください。具体的な税額の判断は税理士にご相談ください。
「売り時かどうか」を自分で判断するための3つの問い
相場の方向だけで売り時は決まりません。次の3つに答えられるかどうかが、判断の土台になります。
- お金が必要な時期は決まっているか。施設入居の一時金、納税、工事費など期限があるものは、相場が上がるのを待つ理由になりません。
- 引っ越せるのか、引っ越せないのか。ここが最初の分岐です。引っ越せるなら通常売却が最も高い金額になりやすく、引っ越せないなら選択肢は限られます。
- 今の家をあと何年維持できるか。固定資産税、修繕、庭の管理。維持コストを何年払い続けられるかは、資産価値と同じくらい重要な変数です。
相場が上がるのを待てるのは、待てる余裕がある方だけです。
「家を売るべきか住み続けるべきか」の判断基準は家を売るべき?住み続けるべき?後悔しない判断基準と5つの選択肢でも整理しています。
自宅の資産価値を現金に変える4つの方法
「引っ越せるかどうか」で、取りうる方法は分かれます。
| 方法 | 住み続けられるか | 受け取れる資金 | 毎月の負担 | 相場上昇の恩恵 |
|---|---|---|---|---|
| 通常売却 | いいえ | 市場価格に近い金額 | 転居先の家賃・購入費 | 最も受けやすい |
| リバースモーゲージ | はい | 担保評価に応じた借入枠 | 利息(元金は死亡時に一括返済) | 担保評価に反映されうる |
| 不動産担保ローン | はい | 担保評価に応じた借入額 | 元金+利息の返済 | 担保評価に反映されうる |
| リースバック | はい(賃貸として) | 買取価格(一般に市場価格より低め) | 家賃 | 買取価格に反映されうるが、家賃も連動しやすい |
注意したいのは、リースバックでは買取価格と家賃がセットで決まるという点です。国土交通省住宅局・不動産業課の解説(国民生活センター『国民生活』2025年10月号)では、事業者へのアンケート回答として、買取価格は相場の6〜7割程度、家賃は売却金額を踏まえて決定されるという実態が示されています。地価上昇で買取価格が上がったとしても、その分だけ家賃も上がりやすいということです。家賃の考え方はリースバックの家賃相場は?をご覧ください。
地価が上がったという理由だけで、リースバックの条件が良くなったと考えないでください。
各方法の詳しい比較は、リースバックとリバースモーゲージの違い、不動産担保ローンとリースバックの違い、家を売っても住み続ける方法はある?をご確認ください。どれが正解かは、ご本人の状況によって変わります。
まずは自宅の「今の数字」を知ることから
2026年の基準地価は、愛知県の住宅地が+1.3%、名古屋市が+2.7%、東三河地域が−0.2%。5年連続の上昇が続く一方で、地域による差は確実に広がっています。ただしこれは県や地域をならした平均であって、ご自宅がどうなのかは、この数字からは分かりません。
売る・借りる・住み続ける、どれを選ぶにしても、判断の出発点は「自宅は今いくらか」「リースバックにした場合の家賃はいくらか」という、ご自宅そのものの数字です。相場のニュースは背景にすぎません。
ココスムを運営する株式会社YOKOYAMAは名古屋市に本社を置き、愛知県の不動産を専門に扱っています。買取価格と家賃の両方をセットでお示ししますので、「今の数字を知ったうえで考えたい」という段階でご相談ください。査定を受けたからといって契約する義務はありません。
よくある質問
基準地価が上がれば、自宅の買取価格も上がりますか?
方向としては影響しますが、そのまま連動するわけではありません。地価は更地としての土地の価格であり、建物の評価は築年数とともに下がります。また基準地はあくまで代表地点で、前面道路の幅・敷地の形・傾斜・接道状況によって実際の評価は変わります。さらにリースバックの場合、買取価格が上がると家賃も上がりやすい関係にあるため、価格だけを見て判断するのは避けてください。
愛知県の上昇幅が縮小したということは、今が売り時ですか?
今後の地価がどう動くかは誰にも断定できないため、「今が売り時」と申し上げることはできません。判断の材料になるのは相場の方向だけではなく、資金が必要な時期が決まっているか、引っ越せるのか、今の家をあと何年維持できるか、といったご自身の事情です。相場を待つことにメリットがあるのは、待てる余裕がある場合に限られます。
地価が上がると、固定資産税や相続税も上がりますか?
税額の基礎となる評価額は、今回公表された基準地価とは別の仕組みで決まります。固定資産税評価額は3年に一度の評価替えで見直され、相続税の計算に使う路線価は毎年1月1日時点で国税庁が定めます(地価公示価格の8割程度が目安とされています)。地価の上昇が評価額に反映されれば税額にも影響しうるという関係ですが、個別の税額については税理士や税務署にご確認ください。
東三河のように地価が下がっている地域では、リースバックは使えませんか?
地価が下落している地域でも、ご相談をお受けできる場合があります。ただし買取価格は物件の評価に応じて決まるため、地価が下落傾向の地域では提示できる金額が抑えめになる可能性はあります。また、住宅ローンの残債が買取価格を上回る場合は、そのままでは手続きを進められません。エリアと残債の状況をお知らせいただければ、対象になるかどうかを含めてお答えします。
自宅のおおよその相場を自分で調べる方法はありますか?
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、基準地価や公示地価の個別地点の価格を地図上で確認できます。近隣の基準地の単価に自宅の敷地面積をかければ、土地部分のおおまかな目安はつかめます。ただしこれは更地としての目安であり、建物の評価や土地の個別条件は反映されません。実際に売却や買取を検討される段階では、物件を見たうえでの査定が必要です。
まとめ
- 2026年9月15日に令和8年都道府県地価調査(基準地価・2026年7月1日時点)が公表され、愛知県の住宅地は+1.3%で5年連続の上昇となりました。
- ただし上昇幅は令和6年の+2.3%をピークに2年連続で縮小。三大都市圏のうち上昇幅が縮小したのは名古屋圏だけでした。
- 県内でも差が広がっており、名古屋市+2.7%に対し東三河地域は−0.2%。住宅地で価格が上昇した地点の割合も67.7%と、昨年の70.0%から減りました。
- 「地価が上がる」=「自宅が高く売れる」ではありません。地価は土地だけの価格で、基準地は代表地点、そして評価額は売れた値段ではないためです。
- リースバックでは買取価格と家賃がセットで決まるため、地価上昇で買取価格が上がれば家賃も上がりやすい関係にあります。価格だけで判断しないでください。
相場のニュースは背景にすぎません。判断の出発点は、ご自宅そのものの買取価格と家賃という具体的な数字です。
本記事の出典
- 国土交通省 報道発表「全国の地価動向は全用途平均で5年連続上昇 ~令和8年都道府県地価調査~」(2026年9月15日公表。全国21,466地点、2026年7月1日時点、三大都市圏の記述)https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00084.html
- 愛知県「愛知県地価情報(地価調査・地価公示)」令和8年地価調査(2026年9月15日公表。用途別平均変動率・調査結果の特徴等・価格)https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toshi/0000029550.html
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」(個別地点の地価の確認)https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
- 国土交通省住宅局・不動産業課「住宅のリースバックの注意点と適切な利用」(国民生活センター『国民生活』2025年10月号)https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202510_03.pdf
- 国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」(2022年6月24日公表)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001489269.pdf